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ダイナミックで勇ましいバレエ作品『海賊』の全幕を徹底解説!

バレエ作品の1つである『海賊』はヴァリエーションや短編集などではよく耳にしますが、実は全幕のストーリーを知らないという方も多いかもしれません。

最近では日本でも『海賊』を全幕上演するバレエ団も増えたので、全幕公演を観れる機会も多くなりました。

今回は『海賊』のあらすじやみどころ、登場するヴァリエーションなどを紹介します。

『海賊』のヴァリエーションを踊ってみたい、『海賊』の全幕公演を観に行く予定の方などは参考にしてみてください!!

『海賊』について知ろう!!

『海賊』は他の三大バレエやロマンティックバレエ作品とは違った、ダイナミックでワイルドな雰囲気のあるバレエ作品です。

まずは、『海賊』の概要や登場人物について紹介します。

『海賊』の概要

『海賊』(かいぞく、仏: Le Corsaire) は、 アドルフ・アダンの作曲したバレエ音楽、およびそれを用いたバレエ作品です。

ギリシア独立戦争に参加した、イギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロンによって1814年に長編物語詩 『海賊』 をもとに作られました。

台本はジョゼフ・マジリエとジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ、振付はジョゼフ・マジリエ。

後にチェーザレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、レオン・ミンクスらによる楽曲が追加され、近年の舞台では1899年にマリウス・プティパにより振り付けられた改訂版をベースとすることが多いです。

初演は、1856年1月23日、パリ・オペラ座で行われ、主役のメドーラとコンラッドは、それぞれカロリーナ・ロザティとドメニコ・セガレッリが演じました。

登場人物

『海賊』には数々の個性豊かな人物が登場します。

主な登場人物の一覧をご覧ください。

・メドーラ(ギリシアの美しい娘)

・コンラッド(海賊の首領(かしら))

・ランケデム(奴隷商人でメドーラやギュリナーラ達を奴隷として売買する)

・パシャ(トルコ総督で女奴隷たちを集めてハーレムにし、美女を何人も夫人にしている)

・ビルバント(海賊でコンラッドの手下)

・アリ(コンラッドの忠誠な奴隷)

・ギュリナーラ(ギリシアの美女でメドーラと仲良し。奴隷市場に出さてしまう)

メドーラやギュリナーラのヴァリエーションはコンクールなどでも多く踊られているので名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

『海賊』第1幕

『海賊』はバレエ作品では珍しく男性ダンサーが多く登場する作品でもあります。

第1幕では海賊とその手下や、ギリシャの美女など物語に重要なポジションの登場人物が次々に登場します。

『海賊』第1幕のあらすじやみどころ、登場するヴァリエーションを紹介しますので、見逃しのないようにチェックしておきましょう!!

『海賊』第1幕のあらすじ

ストーリーは海賊の領主コンラッド率いる海賊船が嵐に巻き込まれ沈没するプロローグから始まります。

コンラッド(海賊の首領)とビルバント(コンラッドの手下)、アリ(コンラッドの奴隷)はギリシャに面した地中海の浜辺に流れ着きます。

3人は偶然通りかかったギリシャの娘、メドーラとギュリナーラに助けられます。

このことがきっかけでコンラッドとメドーラは恋に落ちるのでした。

しかし、そこへトルコ兵がやってきてメドーラたちは捕らえられてしまい、奴隷市場へと連れ去られてしまいます。

コンラッドたちはメドーラたちを助けようと決心します。

奴隷市場では奴隷商人のランケデムが集められた奴隷たちを売り買いし活気に溢れています。

トルコ総督のパシャは、自分の宮殿に招き入れるための美しい美女を探しに奴隷市場を訪れます。

そこで、美しいギュリナーラが競りにかけられているのを一目見たパシャはギュリナーラをすぐに競り落とします。

続いて、メドーラが競りに出されるとパシャは彼女の美しい容姿に魅了され、どんな価格でも手に入れる決心をします。

そこへやってきた商人に扮したコンラッドは「さらに高値で引き取る」と申し出ます。

その高すぎる値段に、パシャはコンラッドの正体を怪しみます。

正体がバレそうになったコンラッドは、自ら正体を明し、その混乱に紛れてメドーラと女奴隷たちを救い出し、奴隷商人のランケデムを連れて姿をくらまします。

『海賊』第1幕のみどころ

バレエ作品では女性ダンサーがメインであることが多いですが『海賊』の場合は男性ダンサーがメインとなりストーリーが展開されます。

また、奴隷市場ランケデムと売りに出されるギュリナーラのグラン・パ・ド・ドゥが踊られます。

日本では「奴隷のパ・ド・ドゥ」とも呼ばれることもあり、短編集を集めたガラ公演や発表会などでも人気です。

『海賊』第1幕のヴァリエーション

『海賊』では第1幕から多くのヴァリエーションが登場します。

『海賊』第1幕に登場するヴァリエーション一覧は下記の通りです。

・メドーラのヴァリエーション

・※オダリスクの第1ヴァリエーション

・※オダリスクの第2ヴァリエーション

・※オダリスクの第3ヴァリエーション

・ランケデムのヴァリエーション

・ギュリナーラのヴァリエーション

男性ダンサーが多い中、女性ダンサー3名のオダリスクは華やかで美しいです。

ぜひチェックしてみてください!

※オダリスクとは女性の奴隷のことで、3人のダンサーによるパ・ド・トロワの踊りです。 アントレ・第1〜第3ヴァリエーション・コーダ の一連の踊りとなっています。

『海賊』第2幕

第1幕に引き続き、海賊たちや奴隷商人が物語を牽引します。

ドキドキの展開から目が離せない第2幕!

『海賊』第2幕のあらすじやみどころ、登場するヴァリエーションを紹介しますので、見逃しのないようにチェックしておきましょう!!

『海賊』第2幕のあらすじ

海賊たちの潜む洞窟では、海賊たちがメドーラたちを助け出したことを祝って宴が行われています。

メドーラはランケデム(奴隷商人)に一緒に捕まっていた女奴隷の解放をお願いします。

しかし、コンラッド以外の海賊は全員反対します。

海賊たちの反対を押し切り、女奴隷たちを解放してあげるコンラッド。

このことがきっかけでコンラッドに不満を抱いたビルバンド(コンラッドの手下)はランケデムと共謀しコンラッドに罠を仕掛けます。

メドーラに睡眠薬を振りかけた花束を渡し、何も知らないメドーラは友人たちを救ってくれたお礼にとコンラッドにその花束を渡してしまいます。

コンラッドはぐっすりと眠りについてしまい、ビルバンドはコンラッドを殺害しようと試みます。

そのことに気づいたメドーラは抵抗しますが、この混乱に乗じてランケデムはメドーラを捕まえ洞窟から逃げ出します。

『海賊』第2幕のみどころ

第1幕に引き続き男性ダンサーがストーリー展開のメインとなっています。

特に第2幕の「海賊の潜む洞窟」の場面では海賊たちのダイナミックで勇ましい踊りを観ることができます!!

また、コンラッド、メドーラ、アリによるパ・ド・トロワもこの場面で踊られますので見逃さないようにしましょう!

『海賊』第2幕のヴァリエーション

『海賊』第2幕では前述のコンラッド、メドーラ、アリによるパ・ド・トロワによる、それぞれのヴァリエーションが登場します。

下記は『海賊』の第2幕に登場するヴァリエーションの一覧です。

・アリのヴァリエーション

・メドーラのヴァリエーション

・コンラッドのヴァリエーション

『海賊』第2幕では海賊たちの踊りの他にも、男性のヴァリエーションがみどころの1つ。

男性で何のヴァリエーションを踊ろうか考えている方も参考になりそうです!

『海賊』第3幕

今までのダイナミックで勇ましい雰囲気とは一転、美しい花園のシーンに目を奪われます。

また、コンラッドとメドーラはどうなってしまうのか・・。

その結末から目が離せません!

『海賊』第3幕のあらすじやみどころ、登場するヴァリエーションを紹介します!!

『海賊』第3幕のあらすじ

場面はパシャ(トルコ総督)の美しい女性たちを集め花園が築かれた宮殿。

パシャは奴隷市場で見つけたギュリナーラの踊りに満足していましたが、他の女性たちからは不満を持たれていました。

そんな中、奴隷商人のランケデムがメドーラを連れてやってきます。

メドーラが自分の元に戻ったことを喜ぶパシャ。

上機嫌になっているパシャは、メッカへの巡礼へ向かう一向に「一晩泊めて欲しい」と頼まれ快諾します。

しかし、実は彼らの正体はメドーラたちを救いにきたコンラッドたちだったのです!

パシャの隙をついたコンラッドはメドーラたちを救出し、海賊船に乗り込みます。

新たな旅に向けて出発した海賊たちでしたが、船は嵐に遭遇し沈没してしまいます。

コンラッドとメドーラだけが奇跡的に助かることができ物語は終わりを迎えます。

『海賊』第3幕のみどころ

第1幕と第2幕では男性ダンサーがメインで活躍し、冒険や勇ましい踊りが繰り広げられましたが、第3幕では美しい花園シーンが登場します。

その美しさはクラシックバレエらしく、ロマンティックな雰囲気です。

踊りも男性たちによる勇ましいものとは打って変わり、優雅で美しい女性の踊りやヴァリエーションが披露されます。

『海賊』第3幕のヴァリエーション

第3幕のパシャの花園では女性ダンサーのヴァリエーションが登場します。

下記は『海賊』の第3幕に登場するヴァリエーションの一覧です。

・ギュリナーラのバリエーション

・メドーラのバリエーション

『海賊』は同じシーンでもバレエ団によって異なるヴァリエーションが披露されることも多いです。

それぞれの違いを楽しむのも『海賊』を観る楽しみかもしれませんね。

バレエ公演について

日本ではバレエの公演に行くことはまだあまり馴染みがないかもしれません。

そのため、敷居が高いと感じてしまうことも多いようです。

しかし、実際は案外気軽に行けるものです。

バレエ公演の基本について紹介しますので、「バレエ公演に行ってみようかな」という方は参考にしてみてください。

バレエ公演のチケット

バレエの公演に行くには、まずチケットが必要です。

チケットの価格はオーケストラ付きの生演奏と、そうでない場合か日本のバレエ団か海外のバレエ団か、全幕公演か※ガラ公演かによって価格は変わります。

※ガラ公演とは各作品から抜粋されたパ・ド・ドゥや小作品を集めた公演のことです。

  • チケットの価格

チケットの価格は大体が3.000円から20,000円くらいの場合が多いです。

  • チケット(座席)の種類

座席は指定になっておりS席、A席、B席、C席のように分かれています。

会場にもよりますが、S席、A席は1階、B席、C席は2階や3階ということが多いです。

1階席は舞台が近く、ダンサーや衣装、舞台の背景など間近で舞台の細かいところまで観ることができます。

2階や3階席も舞台が遠くなってしまいますが、上から見えるので舞台の全体を観ることができるので意外とオススメです。

バレエ公演を観に行く時の服装

実は日本国内のバレエ公演ではドレスコードは決まっていません。

そのため、スーツやドレスなど普段よりドレスアップする必要はありません。

バレエ鑑賞は非日常を味わえる機会なので、せっかくなら少しおしゃれをして行くことをオススメします。

  • オススメの服装

男性 ジャケット、シャツ

女性 ワンピース、スカート(パンツスタイルでもOK)

お子さま (女の子)ワンピースやスカート(男の子)襟付きのシャツ、ポロシャツ等

※マストではありませんが綺麗めな服装がオススメです。

  • 持っていると便利なもの

・オペラグラス

ダンサーの表情や衣装等といった細かい部分も見ることができます。

・ブランケット

会場内は空調が効いている場合が多く、夏には冷房が強く感じることもありますのでブランケットがあると肌寒く感じる時にも安心です。

・A4サイズが入るバッグ

プログラムを購入したり、他の舞台のチラシをいただいたりするので、それらを入れられるA4サイズのバッグがオススメです。

これらのものは必須ではありませんが、持っていると便利なものですので参考にしてみてくださいね。

バレエ公演の鑑賞中マナー

バレエ鑑賞はマナーに厳しいイメージもあるかもしれません。

しかし、基本的に意識したいのは「他の観客の邪魔をしないこと」です。

具体的には下記のことに気をつけます。

・上演中に客席を出入りしない

・上演中にしゃべらない

・物音を立てないようにする

・スマートフォンなどの電子機器の操作(上演中は電源をオフにするのが安心です)

・客席での飲食

・身を乗り出して見ること(後ろの人が見えにくくなってしまうため)

バレエの公演は一度始まってしまうと休憩まで中に入れないこと・外に出られないこともあります。

遅刻してしまった時は休憩までロビーで待たなければならない場合もありますので、時間には余裕を持つようにしましょう。

まとめ

女性、男性ともにコンクールや発表会でよく見かける『海賊』のヴァリエーション。

『海賊』自体、ヴァリエーションの多い作品ですので「何を踊るか迷っている」という方は必見です。

男性ダンサーが多く登場し、メインでストーリー進行していきますので、バレエをしている男の子や男性も参考になることが多いでしょう!

ぜひ、この機会に『海賊』の全幕公演を観てみてくださいね!

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